今日、2025年2月5日にはデリーの州議会選挙がありました。州政府より、「デリー市内のオフィスや学校は休みにせよ」という通達があったり、数日前からドライデー(禁酒日)になったりと、私の生活にも多少の影響があります。
今朝のデリーのNAAの記事で、Z世代の選挙に対する意識を紹介した記事がありました。要約すると、デリー在住者を対象に行われた調査で、「Z世代(18〜26歳)の有権者の半数以上が選挙区の候補者を認識していることが明らかになった」とのこと。ちょっと気になって、関連記事などにあたってみました。[元記事])。
・デリーのZ世代の71%が選挙で投票
・16%は有権者IDを持たず、7.7%は投票しない選択
・最大の関心事:女性の安全、失業、公害
特に一つ目の「71%の投票率」というのは、若年層の投票率が低いとされる日本と比較すると、非常に興味深いです。元記事には記載がありませんでしたが、16%の有権者がIDを持たないというのは、デリー在住で調査に回答した対象者のうち、日本でいう「住民票がない」といったような理由で投票権がない人だと思われます。そう考えると、投票率の高さがさらに際立つのではないでしょうか。日本では若年層の投票率の低さが問題視されていますが、インドでは若者でさえも政治に対する関心が高いといえるでしょう。
インドでは同じ人物の複数投票を防ぐために、投票後に以下のように指にインクを塗られるのですが、選挙当時はこの写真を老若男女問わずこの画像をSNSにアップする人が多くいます。これも選挙に対する関心を示す一例かもしれません。

そんな選挙の当日、今日は「世界最大の民主主義」といわれるインドの選挙について書いてみたいと思います。
「世界最大の民主主義」の選挙
インドは世界最大の人口を抱える民主主義国家であり、選挙の規模も桁違いです。いくつかの観点で調べてみました。
有権者数の多さ
まずは何といってもその有権者の数でしょう。世界最大の14億人超の人口を持つインドですから、有権者の数ももちろん桁違いです。2024年の総選挙では、約9億7,000万人が有権者として登録されたとのこと。比較として、日本の有権者数は約1億500万人(2021年時点)、アメリカの有権者数は約1億6,800万人(2020年時点)であり、インドの選挙規模が圧倒的に大きいことがわかります。また、投票率に関しては、2019年のインド総選挙で約67%、2021年の日本の衆議院選挙で約56%、2020年のアメリカ大統領選挙で約66%とされており、インドでは投票率も比較的高い水準にあります。
選挙の頻度
インドは連邦制を採用しており、国政選挙は5年ごとに実施され、直近では2024年に実施されたのは記憶に新しいところです。各州ごとの選挙も5年ごとに行われますが、州によって異なる時期に実施されます。例えば、デリーでは2020年に州議会選挙が実施され、5年後の2025年の今日、選挙が行われています。
電子投票の導入
インドでは電子投票機を全国規模で導入しています。電子投票が導入された背景には、紙の投票用紙による選挙では集計の遅れや不正のリスクが指摘されていたことがあります。やはり、これだけの規模の選挙を透明性高く実施するには、できるだけ人の手を介さずに運営するのがよいのでしょう。まだインターネット選挙は解禁されていません。
多党制の存在
インドには数百の政党があります。街中を歩いていると初めて目にする政党の事務所を見かけることがあるくらい、身近に感じられます。国政では、モディ首相率いるインド人民党(BJP)が与党として政権を担っていますが、州ごとに主要な政党が異なり、例えば、デリーではアマ・アードミ党(AAP)が支配的であり、西ベンガルでは全インド草の根会議派(TMC)が主導しています。また、タミル・ナードゥ州ではドラーヴィダ進歩党(DMK)が大きな影響力を持っています。
以下は2024年の国政選挙を受けた州別の主要政党を示したものです。NDA, INDIA, Othersというのはそれぞれの政党連合ですが、地域によって主要政党が大きく異なっていることがわかります。
NDA(National Democratic Alliance / 全国民主連合): BJPを中心とした与党連合
INDIA(Indian National Developmental Inclusive Alliance):インド国民会議派(コングレス)を中心とした野党連合。
Others(その他の政党)

NOTA(ノータ)
2013年「None of the Above(いずれにも投票しない)」という選択肢が導入されました。日本では、選挙に対する不満を示す際に「白票」を投じることが一般的だと思いますが、明確に「いずれの候補者にも投票しない」 という意思を示すための選択肢というのは面白いと思います。実際に2019年の総選挙では 約6,500万票(1.08%)がNOTAに投じられたといわれています。
インドで生活していると、政府・国民ともに「選挙」というものに対する意識が日本より格段に高いように感じます。今日はそんなインドの選挙について書いてみました!それでは!