クレジットカード再発行を通じて感じた日印の対応の違い

インドで仕事

先日、クレジットカードの不正利用が発覚し、新しいカードを再発行することになりました。私のカードは日本のカード会社の発行で、紛失・更新時に海外まで送ってくれるサービスを利用しています。そこで、日本のカスタマーサポートに連絡をしたところ、新しいカードが2~3週間ほどで到着するという案内を受けたのですが、実際には10日ほどでカードが手元に届きました。この一件を通じて、日本とインドの対応の違いを改めて感じました。

日本とインドの対応の違い

日本とインドでは、サービスの案内の仕方や対応の進め方に大きな違いがあります。

日本の対応

日本では、最大のリスクを考慮し、最も遅れる可能性のある期日を伝えます。つまり、「最悪の場合でもこれ以上は遅れない」という日程を案内するのです。そのため、実際にはそれよりも早く対応が完了することが多く、この慎重な姿勢が日本のサービスの信頼性を高めています。

インドの対応

一方、インドでは「すべて順調に進めば」という前提でスケジュールを提示します。トラブルや遅延の可能性はあまり考慮せず、最短で対応できる理想的なケースを基準として案内することが多いです。そのため、実際にはトラブルが発生し、予定よりも大幅に遅れることも珍しくありません。

仕事の進め方に見る違い

クレジットカード再発行の対応と同様に、日本とインドでは仕事の進め方にも大きな違いがあります。

例えば、日本では事前にあらゆるリスクを想定し、関係者と合意を重ねたうえで物事を進める傾向があります。一度決まった計画は大きく変更せず、その代わりにスムーズに進むよう事前準備を徹底します。

一方、インドでは「まずやってみる」というスタイルが一般的です。計画は大まかに立てるものの、途中で状況に応じて柔軟に変更しながら進めるため、トラブルが発生してから対応策を考えることも少なくありません。

また、資料作成についても、日本とインドでは考え方に大きな違いがあります。この点については、別の記事『資料作成に見る、日本人とインド人の違い』で詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。

▶️ 資料作成見る、日本人とインド人の違い

プロジェクトスケジュールの作り方に見る違い

プロジェクト全体のスケジュールを作成する際にも、同じ傾向が見られます。

インド人が作るスケジュールは、非常に楽観的な前提で作られることが多く、資料の確認や承認に必要な時間が最低限しか確保されていません。しかも、その資料のクオリティが低いため、予定された時間内に確認や承認が完了することはほとんどありません。

さらに、日本であれば上位者への確認や承認のタイミングを事前に伝え、時間を確保してもらうのが「お作法」となっていますが、インドではこの考え自体がほとんど共有されていません。夕方になってから急に「今日中に承認をお願いします」と依頼されるようなケースも珍しくありません。

つまり、「すべて順調に進めば」などということはほぼなく、多くの場合全体スケジュールが遅延します。

このように、スケジュール管理においても、日本とインドでは考え方や進め方に大きな違いがあるのです。

訪問準備と情報共有のスタイル

同じような例が商談などでも見られます。日本の営業担当者は、訪問前に詳細な情報収集を行い、相手企業の状況を把握した上で提案を行うことが一般的です。一方、インドの営業担当者は、訪問前の準備が簡略で、訪問時に質問を通じて情報を収集するスタイルが見られます。

例えば、日本では事前に顧客の業界動向や過去の取引履歴をリサーチし、それに基づいて最適な提案を準備します。それに対し、インドでは初回の訪問で企業の売上や利益、顧客情報などを直接尋ねることが珍しくありません。この違いを理解していないと、日本の感覚では「準備不足」と映るかもしれませんが、インドの営業スタイルでは「臨機応変な対応」として捉えられるのです。

インド人と仕事をする上で認識しておくべき違いと日印の強み

インド人と仕事をする上では、ここに書いたような前提を理解していないと、ストレスがたまりやすいです。

日本のように完璧な計画を立ててから進める考え方は、インドではあまり通用しません。むしろ、やりながら調整していくスタイルを受け入れ、問題が発生した際に柔軟に対処する姿勢が求められます。また、「日本の常識」の中で、仕事をしていると気が付かないこともありますが、日本人の仕事の進め方も世界的に見たら割と特殊であることは認識しておいた方がいいと思います。

また、インドの仕事の進め方には、日本にはないスピード感や柔軟性といったメリットもあります。日本とインドの違いを理解し、それに適応することで、よりスムーズに仕事を進めることができると思います。

と、偉そうに書いていますが、私自身も日々イライラしつつ、いろいろことに折り合いをつけながら奮闘しています。。。個人的に最も気を付けているのは、違いを認識しつつ、決して必要以上にインド流に染まらないこと。いかに日本のいいところ(異文化の人との違いという意味で)を個人としても、また日系企業としてもどのように強みとしていくかを考えるのが重要だと思っています。この辺りは、またじっくり書いてみたいと思います。

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