インド主要5都市の気候を比較してみた

インドの知識

インドの国土の北端は、北緯37度(ほぼ東京と同じ。ただし、パキスタンとの国境問題が存在し、両国の主張が異なるため、ここではインド政府の主張に従う。)、南端は北緯8度(おおよそバンコクとクアラルンプールの中間くらい。)に広がる広大な国で、陸地総面積は世界第7位ですから、気候も多種多様です。

ヒマラヤ山脈に近い北部の山岳地帯では、冬にはスキーすら楽しむことができます。一方、南部では年間を通じて温暖な気候で、椰子の実が生い茂り、文字通り熱帯気候に触れることが可能です。

インドの主要都市の比較

インドの気候をざっくりご理解いただくため、いくつかの視点で主要5都市の気候を比較してみました。まずは、各都市の位置関係を以下の地図からご確認ください。

次に、各都市の気候を簡単に表にまとめてみました。各都市の特徴的なところをハイライトしています。

 DelhiMumbaiBangakoreChennaiKolkata
緯度(度)28.619.013.013.122.6
標高(m)21212924147
同緯度の都市(都市名-北緯:度:)奄美大島(28度)メキシコシティ(19度)バンコク(13度)バンコク(13度)香港(22度)
ケッペン気候区分温帯夏雨気候 (Cwa) サバナ気候(Aw)サバナ気候(Aw)サバナ気候(Aw)サバナ気候(Aw)
平均最高気温が最も高い月(℃)5月 (39.2)11月 (33.7)4月 (34.0)5月 (37.1)5月 (35.4)
平均最低気温が最も低い月(℃)1月 (7.6)1月 (17.3)1月 (15.8)1月 (21.2)1月 (13.8)
雨量が最も多い月(mm)7月 (237)7月 (840.7)9月 (212.8)11月 (374.4)7月 (411)
雨量が少ない月(mm)11月/12月 (9.0)5月 (0)1月 (1.9)2月 (3.4)1月 (11.0)
湿度が最も高い月(%)8月 (73)7月/8月 (86)8月 (79)11月 (78)7月/8月 (83)
湿度が最も低い月(%)5月 (33)2月 (67)3月 (30)6月 (57)2月/3月 (58)

ケッペンの気候区分では、デリーのみ「温帯夏雨気候」、残りの都市は「サバナ気候」で一緒です。ただし、全都市へ異なる季節に複数回訪問経験がある感想としては、4都市は、とても同じ気候とは思えません。各都市それぞれに特色があります。共通しているのは、明確な乾季と雨季が存在していることくらいでしょうか。(上記、黄色のハイライトで示した月には、ほとんど雨が降りません。)

各都市の気候にどのような特徴があるのか、少し具体的に見ていこうと思います。

Delhi-デリー

この5都市の中で、夏の最高気温が最も高く、冬の最低気温が最も低くなっています。デリーは、西の砂漠地帯と北のヒマラヤに接した内陸性気候で、他都市と比較して気温の日較差・年較差が大きいのが特徴です。

夏の暑さは過酷で、最も暑くなる5月には気温は連日40℃を超え、時には45℃にも達します。ただし、日本のように湿度が高くないため、個人的には、不快指数的には東京と同程度と思っています。例えるならば、デリーの暑さはドライヤーを吹き付けられている感じ。東京はサウナの中のような感じです。

夏の酷暑の一方で、冬の寒さが厳しいのもデリーの特徴です。気温は氷点下まで下がることはありませんが、5℃くらいまで下がることは珍しくありません。また、インドの家の構造は、酷暑に対応するよう最適化されているため、冬場の寒さをしのぐのはなかなか大変です。一例をあげると、床の素材が大理石など石であることが多いため、寒さがダイレクトに体に来る、エアコンに暖房機能がついていない、といった感じです。正直日本の床暖房でぬくぬくしてきた身としては、デリーの冬の寒さは結構堪えます。ただ、日中は20℃近くまで気温が上がるため、インド人にとっては、この季節が一番好きという人が多いような気がします。

Mumbai-ムンバイ

アラビア海に面しており、1年を通じて湿度が高いのがムンバイの特徴です。上の表でみたとおり、5都市の中では最も湿度が高くなっています。そして、ムンバイの一番の特徴といえば、その強烈な雨季でしょう。

以下のグラフはムンバイの降水量を示したものですが、イメージしてもらいやすいようデリーに加え、東京を比較対象に加えています。ご覧の通り、雨季のピークである6-8月にかけての降水量は他都市より圧倒的に多くなっています。私はこの時期のムンバイを何度も訪問したことがありますが、日本の梅雨のしとしと1日中降り続く雨の合間に、スコールが襲ってくる感じです。

この時期は、街中のいたるところで洪水が発生します。

ムンバイの洪水

Bangalore-バンガロール

インド在住者で複数都市に滞在経験がある人は、「生活をするならバンガロールが一番快適」と、口をそろえて言います。もちろん、その裏にはいろいろな背景があるのですが、一番の理由は圧倒的に快適な気候によるものでしょう。

バンガロールは、中・高校時代に「綿花生産が盛んな土地」として教科書で紹介されていたデカン高原の南端に位置する都市です。そのため、標高が約920mと他の主要都市と比較して高くなっています。緯度としては、デリーよりかなり赤道に近づくのですが、年間を通じて気温が安定しており、文字通り快適な気候です。また、高原に位置しているせいか、大気汚染も他の都市と比較してひどくありません。

バンガロールは、庭園都市(ガーデン・シティ)などと呼ばれることがありますが、それも年間を通じた温暖な気候が理由でしょう。

Chennai-チェンナイ

私は、かつてタイ・バンコクにもしばらく滞在していたことがありますが、私がチェンナイを初めて訪問した時、「気候がなんとなくバンコクと似ている」と感じたことを記憶しています。その直感は、訪問を重ねる度に強くなっていきました。両都市は緯度はほぼ同じですし、ともに海沿いに面している、という共通点があります。特に印象に残っているのは、常に弱く、でも心地よい風が吹いていることです。

実際に、以下にチェンナイとバンコクの気温と降水量を比べてみました。もちろん細かい違いはありますが、似ているといって差し支えないでしょう。気温・降水量ともに年間の平均をとると類似性は際立ちます。

チェンナイを訪れたことがなくとも、バンコクを訪れたことがある人はたくさんいらっしゃると思います。そのような方には、チェンナイ=バンコクと似た気候とご理解いただくことをお勧めいたします。

チェンナイバンコク
年平均最高気温(℃)32.932.7
年平均最低気温(℃)24.224.1
年間降水量(mm)13921497

Kolkata-コルカタ

ここまでご紹介してきた4都市については、私の中で「これ」という明確な特徴がありますが、コルカタについては正直あまりありません。実は、私はこの5都市の中では、コルカタへの訪問頻度が少なく、3-4回ほどしか訪れたことがありません。そのため、訪問した季節もやや偏っており、気候に対する理解も不十分かもしれませんが、その中で印象に残っているのは「蒸し暑さ」です。

強いて言えば、気温にせよ降水量にせよ、「デリーとムンバイの中間」という感じでしょうか。以下にグラフ化してみましたが、見事に両都市の中間という感じです。夏場はデリーほど暑くはないが、コルカタより暑い。逆に冬場はデリーほど寒くないがムンバイよりは涼しい。降水量も同様です。

コルカタは他のインドの主要都市と比較すると、訪れたことが少ない方が多いのではないかと思います。しかし、デリーとムンバイは訪れたことがある方は多いのではないでしょうか?そのような方には、「デリーとムンバイの中間」というのは案外理解がしやすいかもしれません。

まとめ

こうやって改めて比較してみると、私が現在住んでいるデリーNCRはとても過酷な住環境だというのがよくわかります。

大気汚染→短い春→酷暑→雨季(デングの季節)→第二の夏→大気汚染の無限ループです。過ごしやすいのは、大気汚染と寒さががやわらぐ2月中旬~3月中旬くらいにかけての本当に短い間だけです。大気汚染さえなけれれば10-11月あたりは快適なんでしょうけどね。。。

以上、インドの気候を簡単にまとめてみました!

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